【導入事例】社員35名のデジタルエージェンシー、Odoo導入から60日でリソース稼働率を25%改善
ホーチミン市を拠点とする社員35名の急成長中デジタルエージェンシーでは、毎月15〜20件のキャンペーンを並行して運用していました。しかし同社は慢性的な業務の偏りに直面していました。「メディア運用チームは深夜残業が続く一方、クリエイティブチームは案件の空きがあるにもかかわらず新規業務をアサインできない」という状況です。感覚値に頼ったリソース配分により、人件費が高騰する一方で、実際の生産性と案件の粗利益率は低下し続けていました。

本ケーススタディでは、分散したExcel管理から統合型プラットフォーム「Odoo Project & Resource Planning」へと移行し、リソースの無駄を25%削減、各部門の正確な作業負荷の可視化を達成した60日間の業務改革プロセスを解説します。
目次
💡 核心インサイト:リソース最適化とは、単に従業員の労働時間を増やすことではなく、アイドルタイム(手待ち時間)を排除し、局所的な過重負荷を防止することです。組織のキャパシティ(稼働可能量)がリアルタイムに可視化されれば、即座に人員を増強することなく、新規案件数を20〜30%拡大することが可能になります。
+25%
リソース稼働率(Utilization Rate)の向上
60日
業務プロセス標準化から全面本稼働までの期間
100%
全案件の進捗および原価をリアルタイムで追跡
第1章
背景:社員35名のエージェンシーが直面したリソース配分の壁
Odoo導入前、同社はアカウント(5名)、クリエイティブ&コンテンツ(12名)、メディア運用(10名)、開発・Web制作(8名)の4部門で構成されていました。売上は堅調に推移していたものの、経営陣は以下3つの深刻なボトルネックを抱えていました。
| 従来の業務体制 | 発生していた運用課題 | 変革の到達目標 |
|---|---|---|
| TrelloとExcelシートによる個別・分散的なタスク割り振り | 将来の空き状況が把握できず、過重労働と手待ちが同時多発 | 全35名のリソースを一元管理するリソースプランニングの構築 |
| 週末や月末にまとめて行う形式的な工数入力 | 工数実績の精度が低く、請求可能時間(Billable)の分析が不能 | 日々の個別タスクに直結した正確なタイムシート運用 |
| 案件受注前の組織キャパシティ予測の欠如 | 営業が無理な納期で合意し、制作現場の遅延トラブルが頻発 | 契約締結前に利用可能な空きリソースを即座に予測・確認 |
第2章
ソリューション:Odooによる運用プロセスの再構築
Sonixは同社と連携し、コアとなる3つのアプリケーション「Odooプロジェクト」、「Odooプランニング」、「Odooタイムシート」を統合したソリューションを設計・構築しました。
📊 ガントチャートによるリソース稼働状況の可視化
Planningモジュールを活用し、役職やプロジェクト単位で柔軟に配分。マネージャーは各デザイナー、ライター、広告運用担当の今後2〜4週間の稼働率(Capacity)を把握し、過負荷アラートで無理な偏りを未然に防ぎます。
⏱️ タスク直結型のリアルタイム・タイムシート
担当者はOdooタスク上でタイマー打刻または直接時間入力を行います。実績工数は事前見積工数(Allocated Hours)と自動照合され、想定外の工数超過が発生しているタスクをPMが早期に検知できます。
⚡ 営業・制作・収益分析のシームレスな連動
営業受注が確定すると、Odooが標準テンプレートから自動でプロジェクトとタスクを生成。記録された工数は社内原価レートに基づき、プロジェクト別損益・粗利レポートへ即座に反映されます。
第3章
60日間のリーン導入・移行ロードマップ
進行中のクライアントワークへの影響を最小限に抑えるため、プロジェクトは3フェーズに分けて段階的に推進されました。
- 1〜15日目(マスタ定義・システム初期設定): 35名分のスキルセット定義、標準サービステンプレートの作成、職位別の人件費レートの設定を実施。
- 16〜35日目(重要3案件でのパイロット運用): クリエイティブおよびアカウント部門を対象に主要3案件で先行運用を開始。日々の工数記録ルールの定着と承認フローの微調整を完了。
- 36〜60日目(全社本稼働・ダッシュボード運用定着): 全35名へ展開。週次のリソース稼働分析レポートを経営陣の定例会議プロセスへ完全に統合。
第4章
運用開始後60日で見られた定量的成果
Odoo導入からわずか2か月で、経営分析ダッシュボード上で明確なパフォーマンス向上が実証されました。
| 評価指標(KPI) | 導入前の状態 | Odoo導入60日後 |
|---|---|---|
| リソース稼働率(Utilization Rate) | 58%(見えない手待ち時間が多数発生) | 83%(生産能力が実質25%向上) |
| 納期遵守率(On-time Delivery) | 65% | 92%(タスク遅延リスクを大幅低減) |
| 週次リソース調整会議の所要時間 | 週 3.5時間 | 週 45分(Odoo上に全データが集約) |
| 平均プロジェクト粗利益率 | 約 28%(予期せぬ残業代により圧迫) | 約 36.5%(労務原価の厳格なコントロール) |
第5章
中小エージェンシーが押さえるべき実践的な教訓
本エージェンシーの成功事例から、プロフェッショナルサービス業界の企業は以下の重要な3点を学ぶことができます。
- 透明性があり、監視目的ではない工数管理文化の構築: タイムシートの目的は案件原価の適正把握と従業員の過重労働防止であり、個人の一挙手一投足を監視するものではないという共通認識が不可欠です。
- システム化前のサービスパッケージ標準化: 成果物ごとの標準工数(例:SEO記事制作:3時間、バナーデザイン:4時間)をあらかじめ定義しておくことで、計画立案の精度が担保されます。
- エージェンシー特有の商習慣を熟知した導入パートナーの選定: クリエイティブ組織特有のスピード感と流動的なタスク変更に寄り添った設計があってこそ、ERP導入は成功します。
国際標準の手法を取り入れたエンタープライズソリューションの詳細は、SonixのOdoo導入支援サービスをご覧ください。
重要サマリー
| 重要施策 | 実務における効果 |
|---|---|
| 稼働キャパシティの可視化 | 部門間のリソース配分の偏りに起因する業務ロスの25%を削減。 |
| タスク単位の日次タイムシート | スコープクリープ(要件膨張)を早期検知し、適切な追加見積・契約交渉が可能に。 |
| 60日間の段階的ロールアウト | 特定部門での試験運用から全社へ広げることで、進行中案件を止めずにスムーズに定着。 |
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