ベトナムの多くの中小企業(SMB)では、購買の承認プロセスが今も「承認をお願いするメール」「Zaloで上司に『もう承認いただけましたか』と確認するメッセージ」、あるいは部署間で手渡しする紙の承認シートに頼っています。発注件数が少ないうちは、この方法でも何とか回ります。
しかし会社の規模が拡大し、仕入先や発注件数が増えるにつれて、明確な承認プロセスがないことが、予算超過の購買、重複発注、あるいは理由の分からないまま誰かの机の上で「止まってしまう」発注の遅延につながりやすくなります。

本記事では、Odooの購買(Purchase)モジュールが発注金額と承認者の役割に基づいて多段階の自動承認ワークフローをどのように構築するかを解説します。日々の購買業務を遅らせることなく、SMBが支出をコントロールできるようにする仕組みです。
💡 Insight: 手動購買における最大のリスクは、承認者が不足していることではなく、発注金額に紐づいた明確な承認基準が存在しないことです。50万ドンの発注も5億ドンの発注も同じように「上司に確認する」しかない場合、承認者は小口案件で疲弊する一方、大口案件では統制の抜け漏れが生じやすくなります。
SMBによくある状況
手動での購買承認によくある課題
多くのSMBでは、購買を申請する側(依頼元の部署)、承認する側(マネージャーや役員)、実行する側(購買担当、経理)が同じツール上で仕事をしていません。申請はメールやチャットで送られ、承認者は一行のメッセージで返信するだけで、誰がいつ、いくらの予算を承認したのかを完全な形で記録している人は誰もいません。
このような運用は、繰り返し発生する3つの問題を生みます。第一に、発注金額に応じた承認基準がないため、小口の発注(事務用品など)も大口の発注(設備、原材料など)も同じ承認フローを通ることになり、承認者の負担が増え、本来素早く処理すべき案件まで遅くなります。第二に、承認者が不在や出張の場合、代理承認や自動的なエスカレーションの仕組みがないため、発注が「宙に浮いた」状態になりやすくなります。第三に、承認履歴が一元管理されていないため、仕入先とのトラブルや社内監査の際に経理担当者が照合作業に苦労します。
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SMBで別々のツールに分かれがちな購買関連の役割(申請・承認・実行)の数
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メール・チャットで運用している間の、発注金額に基づく承認基準の数
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Odoo Purchase上で運用した場合に承認履歴すべてを保管する場所の数
解決策
解決策:Odooにおける多段階の自動購買承認ワークフロー
Odooの購買(Purchase)モジュールでは、承認基準(approval threshold)と承認レベル(approval level)をシステム上で直接設定でき、それらは発注書(Purchase Order)、必要であればその前段階の見積依頼(RFQ)とも紐づいています。申請から承認、正式な発注への変換まで、すべて同一のレコード上で完結します。
発注金額に応じた承認基準
管理者は、その金額を超えると発注書が作成者による直接確定ではなく、承認権限を持つ者による「発注確定」ステップを必ず経るようにする基準額を設定します。基準額未満の発注はそのまま処理でき、基準額を超える発注は自動的に承認待ちの状態に移行します。
役割・部署に応じた多段階承認
より高額な発注については、実際の組織構成に合わせて設定されたアクセス権限(Access Rights)とレコードルール(Record Rules)に基づき、複数の承認段階(部門長、その後役員など)を要求することができます。
通知と承認履歴の一元管理
承認が必要な発注があると、承認者はシステム上で(設定していればメールでも)すぐに通知を受け取ります。承認、却下、修正依頼といったすべての操作は発注書のログ(チャター)に記録され、照合や監査が必要な際に参照できる完全な履歴となります。
実際のメリット
購買承認プロセスを自動化するメリット
承認基準と承認レベルがシステム上であらかじめ設定されていると、その効果は小口案件の処理スピードと大口案件の統制レベルの両方に最もはっきりと表れます。
| 業務 | Odoo導入前(手動) | Odoo Purchase導入後 |
|---|---|---|
| 小口の発注 | 大口案件と同様にメール・チャットでの承認待ちが必要 | 基準額未満は承認待ちなしで自動確定 |
| 大口の発注 | 承認が一段階のみで、予算統制の抜け漏れが生じやすい | 金額と役割に応じて自動的に多段階の承認へ回付 |
| 承認履歴の照会 | メールやメッセージに散在し、集約が困難 | 発注書のログに一元管理され、即座に照会可能 |
導入時の留意点
Odooで購買承認ワークフローを導入する際の留意点
承認基準を設定する前に、SMBは経営陣とともに具体的な金額の区分(例:1,000万ドン未満は自動確定、1,000万〜1億ドンは部門長承認、1億ドン超は役員承認など)と、不在時の代理承認者を決めておく必要があります。これは技術的な設定作業ではなく社内の意思決定プロセスであり、多くの場合システムの設定作業そのものよりも時間がかかります。また、承認者が自分の担当範囲の発注のみを閲覧できるよう、アクセス権限の設計も入念に見直す必要があります。詳しくはSonixのOdoo導入サービスもご参照ください。
さらに、本番稼働(go-live)前のUAT(User Acceptance Testing)段階で、実際の発注データを使って承認フローを試験運用しておくことをお勧めします。緊急購買で承認段階を一部省略する必要があるといった例外ケースを、システムが本番稼働した後ではなく事前に洗い出しておくためです。
重要なポイント
| 要点 | 企業にとっての意味 |
|---|---|
| 発注金額に紐づいた承認基準 | 小口案件は迅速に処理され、大口案件はより厳格に統制される。 |
| 役割・部署に応じた多段階承認 | 画一的な硬直したプロセスではなく、実際の組織構成に適合する。 |
| 承認履歴のシステム上での一元管理 | トラブルや監査の際に照会・照合がしやすい。 |
| 設定前に承認基準を社内で合意しておくこと | 本番稼働後の再設定を避けるための決定的なステップ。 |
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