四半期末の決算。Agencyの売上は前年比18%増、どのチームも毎晩遅くまで働いています。ところが経営者が 「どのプロジェクトが黒字で、どれが赤字なのか?」 と尋ねても、経理が答えられるのは契約ごとの売上だけ。コストは給与台帳、フリーランスの請求書、各自の工数ファイルに散らばっています。売上は誰にでも見えるのに、プロジェクトごとの利益は誰にも確信が持てない。これが多くのAgencyの実情です。

本記事では、Odoo Project Costing を使ってAgencyのプロジェクトごとのProfitability(収益性)を算出する方法を、4つのステップで解説します。プロジェクトを受注に紐づける、工数に原価単価を設定する、外部コストを正しいプロジェクトに記録する、そしてプロジェクトの進行中に損益表を読む、という流れです。
目次
💡 Insight:Agencyが赤字になる原因は、顧客が足りないことではめったにありません。どのプロジェクトが利益を削っているのか分からないことが原因です。見積を超えた工数、想定外のフリーランス費用、範囲外の修正対応。これらは一つひとつは小さな損失で、1つのプロジェクトに合算して初めて姿を現します。
1画面
プロジェクトの売上・コスト・利益率を一か所で確認
3つのコスト源
工数、仕入先請求書、従業員の立替経費
進行中
完了後の総括を待たず、修正が間に合ううちに利益率を確認
PART 1
Odoo Project Costing:売上が大きくてもプロジェクトが黒字とは限らない理由
プロジェクトの利益を知るには、3つの数字が同じ場所に揃っている必要があります。顧客からの入金額、投入した工数、外部への支出です。ところが多くのAgencyでは、この3つが別々の場所に置かれています。
| 現在のやり方 | 起きていること | Odoo Project Costingを使うと |
|---|---|---|
| 売上は契約単位、コストは共通の給与台帳 | どのプロジェクトが最も人件費を「消費」しているか分からない | 工数に各人の原価単価を掛け、プロジェクトに直接計上される |
| フリーランス請求書、ストック素材、広告費を一括処理 | 外部コストを特定の顧客に結びつけられない | 仕入先請求書の入力時にプロジェクトを指定できる |
| プロジェクト終了後にExcelで損益を計算 | 赤字と分かった時にはプロジェクトが終わっており、打つ手がない | データが発生するたびにProfitabilityの表が更新される |
| 勘に頼った見積 | 赤字になる案件タイプに、同じ低価格を繰り返し提示してしまう | 過去案件の実際の利益率を、新規案件の価格設定に活かせる |
4行に共通しているのは、コストがプロジェクトに付いてこないことです。以下のデモでは、Odooがコストを発生した瞬間からプロジェクトに紐づける様子をご紹介します。
STEP 1
プロジェクトを受注に紐づけて売上側を作る
デモでは、AgencyがLá Xanh Spa様のWebサイト制作を固定価格48,000,000 VNDで受注します。内訳はデザイン40時間とコンテンツ作成20時間です。本記事の数値はすべて説明用の例です。
🛒 サービス製品で見積を作成
アカウント担当が、Design Hour と Content Hour の2つのサービス明細で見積を作成します。受注確定時にプロジェクトが自動作成されるよう、あらかじめ設定しておきます。
📝 受注確定でOdooがプロジェクトを作成
プロジェクト Lá Xanh Spa – Website が作成され、受注と紐づきます。この時点から、受注の売上がそのままプロジェクトの売上となり、別の場所で入力し直す必要はありません。
🧭 タスクに分解して担当者を割り当て
プロジェクトマネージャーが トップページのデザイン と サービスページのコンテンツ作成 というタスクを作り、デザイナーとライターに割り当てます。これらのタスクに記録された工数は、すべてプロジェクトのコストに反映されます。
STEP 2
Odoo Project Costing:メンバーごとに時間あたり原価を設定する
工数は、単価が付いて初めてコストになります。従業員レコードに、その人の時間あたり原価を管理者が入力します。一般的には、給与に保険料を加え、1時間あたりに配分した間接費を足して算出します。
- 一人ひとりに原価単価を設定:デモでは、デザイナーが350,000 VND/時間、ライターが280,000 VND/時間です。同じプロジェクトに記録しても、二人の1時間はコストとしての価値が異なります。
- 工数の記録と同時にコストを自動計算:従業員はいつも通り時間を記録するだけです。Odooが工数に原価単価を掛けて、その明細の人件費を算出します。
- 原価単価は機密データ:閲覧は管理者と経理に限定し、一般の従業員が同僚の単価を見られないようにします。
- 定期的な見直し:給与や間接費が変わったら、四半期ごとに単価を見直し、レポートがずれないようにします。
ワンクリックでの時間記録や、プロジェクト別のBillable Hoursの見方は、SonixのOdoo Timesheetデモをご覧ください。Timesheetは、Project Costingに流れ込むデータの源泉です。
STEP 3
外部コストを正しいプロジェクトに記録し、Project Costingを完全にする
工数は通常コストの最大項目ですが、すべてではありません。Agencyは、ライセンス画像の購入、フリーランスへの発注、ドメイン費用の支払い、顧客に代わっての広告出稿も行います。これらがプロジェクトに紐づいていないと、損益表は実態より良く見えてしまいます。
| コストの種類 | 入力する場所 | プロジェクトへの紐づけ方 |
|---|---|---|
| 社内の工数 | タスク上のTimesheet | タスクのプロジェクトを通じて自動で紐づく |
| フリーランス、ストック素材、ドメイン費用 | 仕入先請求書または発注書 | 入力時にコスト明細でプロジェクト(分析勘定)を選択 |
| 従業員の立替経費(交通費、印刷費など) | 従業員の経費精算書 | 経費明細でプロジェクトを選択 |
デモでは、トップページ用のライセンス画像の請求書4,500,000 VNDを経理が入力し、プロジェクト Lá Xanh Spa – Website に紐づけます。チーム全体で徹底するルールはシンプルです。顧客に関わる請求書は、保存前に必ずプロジェクトを選択することです。
STEP 4
プロジェクトのProfitabilityを読み、進行中に手を打つ
売上、工数、外部コストが同じプロジェクトに揃うと、プロジェクト更新画面のProfitabilityセクションが、それらを1つの表にまとめます。以下は、デモプロジェクトの完了後の表を、見積時の計画と比較したものです。
| 項目(Lá Xanh Spa – Website) | 見積時の計画 | 実績 |
|---|---|---|
| 売上(固定価格) | 48,000,000 VND | 48,000,000 VND |
| デザイン工数 | 40時間 = 14,000,000 VND | 52時間 = 18,200,000 VND |
| コンテンツ工数 | 20時間 = 5,600,000 VND | 18時間 = 5,040,000 VND |
| 仕入先請求書(ライセンス画像) | 4,500,000 VND | 4,500,000 VND |
| コスト合計 | 24,100,000 VND | 27,740,000 VND |
| 粗利益と利益率 | 23,900,000 VND(約49.8%) | 20,260,000 VND(約42.2%) |
デザイン工数が計画を12時間超過しただけで、利益率は約7.6ポイント低下しました。固定価格の契約では、この分はAgencyが自ら負担します。重要なのは、この数字を納品後ではなく、プロジェクトが進行している最中に見られることです。
- デザイン工数が販売時間の80%に達したとき:プロジェクトマネージャーが早めに顧客へ連絡し、残りの修正回数を合意するか、追加分を新しいサービス明細として見積ります。
- 利益率が目標を下回ったとき:アサインを見直し、より適した原価単価のメンバーに作業を移すか、まだ必要のない外部コストを削減します。
- プロジェクト終了時:実績の利益率を保存し、スパのサイト、飲食店のサイト、ブランドアイデンティティなど、類似案件の価格設定の根拠にします。
同じデータから、経営者はどのプロジェクト、どの顧客、どのサービスの利益率が高いかも比較でき、どんな仕事を増やすべきかを判断できます。
IMPLEMENTATION
AgencyにOdoo Project Costingを導入する際のポイント
Profitabilityの表が正確になるのは、入力データが揃っているときだけです。次の3つのポイントを押さえると、導入初月からよくある誤差を避けられます。
- 時間あたり原価の計算方法を統一する:給与、保険料、間接費という1つの計算式を全員に適用し、プロジェクト間の比較が意味を持つようにします。
- 請求書へのプロジェクト紐づけを必須にする:顧客関連のコストの請求書は、プロジェクトを選択するまで経理が保存しません。1件の漏れが、プロジェクトを実際より利益が出ているように見せてしまいます。
- まずはパイロットプロジェクトから始める:進行中の2〜3件で試し、会計帳簿と突き合わせてから、Agency全体に展開します。
エディションについて、OdooにはCommunityとEnterpriseがあり、公式の機能範囲はバージョンによって変わる場合があります。Timesheet、Project、会計の一部の機能はEnterprise版に含まれる可能性があるため、ご利用のバージョンで確認のうえ、ソリューションを決定してください。
サービス製品、時間あたり原価、コストから損益レポートまでの流れの設定を一緒に進めるパートナーをお探しなら、Sonixがお手伝いします。詳しくはOdoo導入サービスをご覧ください。
KEY TAKEAWAYS
| ポイント | Agency経営者にとっての意味 |
|---|---|
| プロジェクトを受注に紐づける | プロジェクトの売上側が最初から揃い、再入力や手作業での突き合わせが不要になります。 |
| すべての工数に原価単価を設定 | プロジェクトの人件費が、誰が何時間働いたかを正確に反映します。 |
| 外部コストを正しいプロジェクトに紐づける | フリーランスやストック素材の請求書の漏れで、損益表が良く見えてしまうことを防ぎます。 |
| 進行中にProfitabilityを読む | 範囲の再交渉、人員配置の調整、実績の利益率に基づく次回見積の価格設定が間に合います。 |
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