Salesforce エコシステムはCRMだけではありません。Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloudに加えて、データ分析のTableau、チームのコミュニケーションを担うSlack、システム連携のMuleSoft、顧客データを統合するData 360があります。これだけ名前が並ぶと、「全部導入しないと効果が出ないのか」と感じる経営者も多いはずです。
結論から言うと、その必要はありません。それぞれが別の課題を解決するための製品です。多くの中小企業はCRMから始め、「複数のデータソースを手作業で集計している」「システム同士がつながっていない」といった実際のボトルネックが見えた段階で、次の製品を検討します。
ご注意:本記事に登場するオフィス機器の販売代理店は架空の例であり、実在の顧客ではありません。各製品はライセンスと料金体系が別々で、機能はエディションによって異なります。また、Salesforceの製品名は比較的頻繁に変わります(例:Data CloudはData 360に名称変更)。検討の際は必ず公式ページをご確認ください。

製品名が多くて分かりにくい理由
Salesforceは自社開発に加え、専門企業の買収によって成長してきました。Tableau、Slack、MuleSoftはいずれも、Salesforceに加わる前は独立した会社でした。そのため今でもそれぞれ独自の名前や画面、ときには独自のWebサイトを持っており、初めての方にはバラバラのツールに見えがちです。
さらに名称の変更も早いペースで行われます。Data CloudはData 360になり、AIエージェントはAgentforce 360という名前でまとめられました。SalesforceとSlackをつなぐ旧アプリもサポートが終了し、新しい連携機能に置き換わっています。古い資料と新しい資料を同時に読むと混乱するのは自然なことです。
整理のコツはシンプルです。「その製品はどのビジネス上の問いに答えるのか」を考えることです。製品と問いを結びつけると、全体像が一気に見えやすくなります。
Salesforce エコシステムの5つの構成要素
成長中の企業が名前と役割を押さえておきたい5つの要素を、それぞれが答えるビジネス上の問いとあわせて紹介します。
CRM:Sales Cloud、Service Cloud、Marketing Cloud
- 問い:各顧客はどの段階にいて、誰が担当し、どの商談がもうすぐ成約しそうか
- 社員が日々Lead、Opportunity、Case、キャンペーンを扱う場所
- 土台となる存在で、ほかの要素はすべてここのデータを読み書きします
Tableau:データ分析と可視化
- 問い:ある地域の売上はなぜ下がったのか、販売データと会計データを合わせると最も利益の出る製品はどれか
- 複数のデータソースを組み合わせて深く分析したい場合に強く、CRM標準のReports & Dashboardsを超える分析が可能です
- AIエージェントが分析を支援する新しい方向性については、SalesforceサイトのTableau Next紹介ページ(英語)をご覧ください
Slack:チームの会話と情報共有の場
- 問い:大型商談のステージが変わったとき、会議を待たずにチーム全員がすぐに知るにはどうするか
- テーマごとのチャンネルをSalesforceのレコードと結びつけ、ひとつの顧客や商談を中心にやり取りできます
- 設定方法:SlackヘルプのSalesforce channelsに関する記事(英語)
MuleSoft:システム連携のレイヤー
- 問い:CRM、ERP、在庫システム、Webサイトの間で、一対一の個別接続をせずにデータをやり取りするには
- 連携とAPIを一元管理する仕組みで、中心となるのはAnypoint Platformです
- 最新の製品一覧:Salesforceのインテグレーション製品ページ(英語)
Data 360(旧Data Cloud):顧客データの統合
- 問い:CRM、Webサイト、POSにある3つのレコードは、実は同じ顧客ではないか
- 複数のソースのデータをひとつの統合顧客プロファイルにまとめ、営業・マーケティング・AIエージェントで活用できます
- 公式の概要:Salesforce Data 360(英語)
これらの上に、AIエージェントのレイヤーであるAgentforceがあります。エージェントが正しく答えるには、CRMとData 360のきれいなデータが欠かせません。AIについてはEinstein AIが営業・マーケティングにできること(英語)も参考にしてください。
| 要素 | 役割 | 主な利用者 |
|---|---|---|
| CRM | 日々の顧客対応 | 営業、カスタマーサポート、マーケティング |
| Tableau | 分析と可視化 | 管理職、データ分析担当 |
| Slack | コミュニケーションと協業 | チーム全員 |
| MuleSoft | APIによるシステム連携 | 情報システム部門、導入パートナー |
| Data 360 | 顧客データの統合 | マーケティング、分析、AI |
各要素はどうつながるのか:ひとつの例
架空の例として、法人と小売店の両方に販売している社員40名のオフィス機器販売代理店を考えます。ひとつの注文が各要素をどう流れるかを追ってみましょう。
ステップ1:CRM。見込み客がWebフォームに入力するとLeadが作成され、南部担当の営業に割り当てられます。机と椅子50セットの需要が確認できた時点で、営業はLeadをOpportunityに変換します。
ステップ2:Slack。商談が一定の金額を超え、提案ステージに進むとチームのチャンネルに通知が届きます。チームリーダーは月曜の会議を待たず、その場で値引きについて話し合えます。
ステップ3:MuleSoft。商談が成約になると、ERPに受注が自動で作成され、在庫が引き当てられます。倉庫担当者が注文を再入力する必要はありません。
ステップ4:Data 360。この顧客は以前、別の電話番号で小売店から購入していました。プロファイルが統合されるため、マーケティングはリピート顧客だと把握でき、新規顧客向けのウェルカムメールを送らずに済みます。
ステップ5:Tableau。月末、取締役はCRMの売上とERPの売掛金を組み合わせたダッシュボードを開き、成約済みでも未入金の商談を確認します。
大切なのは、初日から5つのステップすべてが必要な会社はないという点です。この例は、おなじみの業務の流れの中で各要素がどこに位置するかを示しているにすぎません。
中小企業の Salesforce エコシステム:どこから始めるか
一般的には、まずCRM、その後に最も大きなボトルネックを解消する要素を加える順番が合理的です。次の表でサインを確認してください。
| 起きていること | 検討すべき要素 |
|---|---|
| 顧客データがExcelや個人のチャットアプリに散らばっている | CRM(常に最初の一歩) |
| 商談の情報が届くのが遅く、一人ずつ状況を聞いて回っている | CRMと連携したSlack |
| CRM・会計・在庫のデータを手作業で集計してレポートを作っている | Tableau |
| 複数のシステムがあり、社員がシステム間でデータを再入力している | MuleSoft、またはより軽量な連携ツール |
| ひとりの顧客が複数チャネルに複数のレコードを持ち、パーソナライズやAIを活用したい | Data 360 |
単純な連携が2〜3件だけなら既製のコネクタで十分なことも多く、MuleSoftは後回しにできます。レポートがパイプラインや担当者別売上程度であれば、CRM標準のReports & Dashboardsでたいてい足ります。自社開発との比較を検討している場合はBuild vs Buy:自社開発CRMかSalesforceか(英語)、よく使われる連携についてはSalesforceと連携される主要アプリ10選(ベトナム語)をご覧ください。
ライセンスと名称についての注意点
各要素は別々の投資です。Tableau、Slack、MuleSoft、Data 360はそれぞれ独自のライセンスと料金体系を持ち、CRMには含まれていません。Data 360には利用量に応じた課金もあるため、有効化する前に詳細を確認しましょう。
名称は早いペースで変わります。資料を読むときは公開日を確認してください。古い資料ではData 360が「Data Cloud」と呼ばれていたり、サポートが終了したSlackアプリが紹介されていたりします。
すべての要素に大規模な導入パートナーが必要なわけではありません。Slackや基本的なレポートは社内で対応できることが多い一方、MuleSoftやData 360は経験者の支援が必要になりがちです。難しいのはツールではなく、データ設計だからです。
購入前に無料で学べます。TrailheadはSalesforce公式の学習プラットフォームです。TrailheadのSalesforce Platform Basicsモジュールは、各要素に進む前にプラットフォーム全体を理解する出発点として最適です。
Salesforce エコシステムを広げる前のチェックリスト
CRM以外の要素を追加する前に、次の項目を確認してください。
☐ CRMが毎日使われ、データがある程度きれいに保たれている
☐ 現在最大のボトルネックを具体的な一文で書き出している
☐ そのボトルネックを上の表のサインと照らし合わせた
☐ データをやり取りする必要があるシステムを一覧にした
☐ 次に追加する要素のライセンスと料金が明確になっている
☐ 製品名と機能を公式ページで確認した
☐ 導入後に新しい要素を担当する人が決まっている
11月、SonixはSalesforce エコシステムの各要素を順番に紹介していきます。最初に知りたいのはどれですか?ぜひ下のコメント欄で教えてください。皆さまの声をもとに優先順位を決めます。
Salesforce CRM
Tableau
Slack
MuleSoft
Data 360
DX
中小企業
Sonixとの無料相談で、現在のボトルネックを明確にし、最初に投資すべき要素を一緒に選びましょう。必要以上の導入はおすすめしません。
Sonix: Your success is our happiness.

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